楽しく真剣に仕事をします。
せっかくやる仕事ですから、楽しくやります、真剣にそして適度に集中してやります、そして、上手に、サッサとやります。「気難しく、融通が利かない。だけど、凄い腕利きの仕事をやる」という古風な職人のイメージではなく、気軽に何でもご相談いただける、融通の利く、そんなイメージです。
「へたっぴな職人がイライラしながら何回もやり直して」というシーンを見てきて、自分は腕に恵まれてよかったなと思うわけですが、でも、これって、スポーツと一緒で、練習をさぼると下手になるのと同じ。だから、常に現場主義。
そして、常に現場主義。そこから見えてくるものとは?
職人は常に現場主義です。10か所訪問させていただくと10通りの工事方法となります。同じものがなく、価値を上げる方法も一様ではないので、この仕事の面白さがあります。そして、多くの現場を経験して、腕もセンスも磨かれると実感しています。
例えば、2LDKが3戸の物件を依頼された場合。「同じ間取りの2LDKが3戸だから、3戸とも同じじゃないの?」と言う職人は全く考えてない人。そういう人ほど、細かな様々な点に気が付かずにやりすごしている、ということにすら気が付いていないかもしれない。(失礼しました!)そして、「ご依頼通りに壁紙を張り替えましたが何か?」とか言うわけですよね。壁紙を張り替えることだけが仕事じゃないだろうにと思うわけです。確かに「壁と天井のクロスの交換」と依頼されたわけですが、依頼主の立場に立って、同じ予算で更にバリューアップの提案など考えもしない。だから、「価格以外で満足してもらえない。価格が高ければ不満でしかない。」という結果になりやすい。安さだけを追求される方は、気の利かない指示待ち職人に依頼されて、リフォームによって成し得たかもしれない不動産価値アップをし損ねたかれないかもしれない。一般家庭や事務所であればサプライズ感のないリフォーム結果に、大家さんであれば家賃の値下げという結果に、再販業者さんであれば販売価格の値下げと言う結果に・・・
同じ間取りの2LDKが3戸でも、使う人が違うでしょうし、用途が違うでしょうし、経年の仕方が違うでしょうし、通風や採光の具合が違うでしょうし、眺望が違うだろうし、部屋の湿度の状況が違うでしょうし、まだまだ、沢山あります。これらに応じて、違った商品選定に施工方法が求められ、総合的に上手にやれば、不動産価値を守り、そして高めていかれるわけなんです。
具体的に、掘り下げますと、この2LDKが3戸の物件、二世帯住宅+賃貸という形で、北側が斜面で擁壁で壁面を補強し、その上に建っていて南側に玄関があり、1階部分は実質的には2階で、1階の人は階段を下り、3階の人は階段を上るような形になっている。擁壁の下は細い道路になっていて、そこから見上げると、この辺一帯の擁壁には苔がびっしりとついている。これは、何を表しているかと言えば、北側斜面でひな壇の途中に1階部分が埋まっているという物件では典型例だが、1階部分は特に通風が悪い、つまり、湿度が高い、つまり、カビが発生しやすい、無対策なら、木材が腐りやすい。それに、金属部分や金属部品がサビやすい。そして、予想通り、室内はカビが発生し臭く、木部には部分的な腐食も見られ、金属部品(ネジ)がサビている。だけど、2階と3階に住むオーナーはそれなりに快適に暮らしているせいか、賃貸部分については、下の階が多少カビ臭くても無頓着。経年で汚れた壁紙や床を交換すれば賃借人もいずれはつくだろうと悠長な姿勢。でも、大家であるなら、賃料は下げずに、すぐに入居者を見つけた方が良いし、カビは健康被害をもたらしますから、予算の許す限りは対策をした方が良い。しかし、決めた予算があるということで、防湿で防カビでタフなタイプの壁紙(このタイプはデザインが限定されるので、第一希望の柄ではないが、似たものを選びました)選定をし、カーテンレール等の付属品やその留め具も錆びない部品に交換し、さらに下地には除菌剤を塗布しながら施行、そして、室内は家庭用除湿機を設置し24時間運転で屋外へ排水というご提案となりました。
そして、仕事が終わり、ご清算をさせていただくとき、ありがたくも1つの物件のご縁をいただいたことに感謝の思いと、そして、仕事を通じて学んだことを少なくとも何か1つは考えだし教訓として、次に活かせるようにとの思いで、現場を後にします。